生活文化づくりのシステムコンダクター片山鉄建株式会社
ek広場
2007年10月20日(384号)

■漢字文化


漢字は中国から渡って来た文字だが、なんとも見事な文字だと思う。辞書で部首を見ると、人偏、木偏、さんずい偏、草かんむり、心、更に魚や鳥などもある。そして人偏なら、人に関わる文字、例えば体、仁、住、働、信など、木偏なら大抵の木がずらっと並ぶばかりでなく、木が二つで林、三つで森とは秀逸だ。さんずい偏なら、河、海の関連文字を始め、深浅、浮沈、清濁、誠に見事である。心では人間の心の動きが殆んど現われる。思、意、志、忘、感、想、忍、念、悲、怒、惑、慾、怨、などなど。特に人偏の信が、人の言とは意味深長ではないか。
 こんなすばらしい漢字を、一体誰が発明したのだろう。文字そのものが意味を持っているから凄い。英語をはじめスペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語ほか殆んどの外国語が、発音即ち文字の並びで表現されているのとは根本的に異なる。漢字にはほとほと感心させられる。以前来日したタイの若い僧侶が日本語を覚えるのに、

『女偏の漢字はこう覚えます。「子」供は大「好」き。「良」い「女」は「娘」。「古」い「女」は「姑」。』

と言っていたのを思い出した。
 日本人はまた凄いことをやってきた。古い話だが、日本語の音を表記するのに漢字を利用したのが万葉仮名。万葉仮名が次第に崩されて、平安時代初期には平仮名が作られたらしい。漢字の仮名交じり文は日本語独特のものだ。日本人は仮名交じり文で漢字を自由に操るようになって、今日に至っている。
 ご本家の中国では、何時の頃からか漢字の極端な簡略化が実行されているが、あそこまで簡略化されるのは、些か淋しい気もする。しかし日本も偉そうなことは言えない。私達戦前派は、小学校から昔の難しい漢字を教え込まれてきたが、敗戦後は当用漢字や常用漢字とて、順次漢字の簡略化が行われている。台湾の人達は、今でも昔の難しい漢字を使っているようだ。台湾の人に聞いてみると、日本の常用漢字や中国の簡略化漢字を、台湾(この台湾の字体も簡略字)では簡体字と呼んでいる。台湾は、私達戦前派が習った古い難しい字体を使っており、これを繁体字と呼んでいるそうだ。
 所詮言葉というものは、夫々の国の文化である。我々が英語を話せない以上に、外国人にとっては日本語は厄介な代物らしい。外国人で5〜6ヶ国語を話す人は多いようだが、その5〜6ヶ国語は何れもアルファベットを並べる構図が似ているので、左程難しくはないらしい。
 言葉を習得するにはその国へ行って、朝から晩までその国の言葉しか話せない環境に置かれるしか方法はないだろう。現に相撲の外人力士が、とても上手な日本語を駆使しているのに驚かされる。最近中国・韓国・台湾など近隣諸国で、多少日本語熱が盛んということも耳にするが、まだまだとても僅少の事象であろう。
  それにしても、なんともすばらしい漢字文化を、何とか正しく受け継いで行かねばならぬと思う。そしてできれば少しでも漢字文化圏を広げたいと思うが、まず「百年河清を俟つ」に等しいか。


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